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線量計に鉛カバーする、「線量がなくなったら生活していけねえんだ。わかる?」

 最近の衝撃事件の一つだが、

 「 東京電力が発注した福島第一原発の復旧工事で、下請け会社の役員が昨年12月、厚さ数ミリの鉛のカバーで放射線の線量計を覆うよう作業員に指示していたことがわかった。
 法令で上限が決まっている作業員の被曝(ひばく)線量を少なく見せかける偽装工作とみられる。
 朝日新聞の取材に、複数の作業員が鉛カバーを装着して作業したことを認めた。
 役員は指示したことも装着したことも否定している。
 厚生労働省は、労働安全衛生法に違反する疑いがあるとして調査を始めた(2012年7月21日朝日新聞記事から)」。

【続報】

続報1
 東京電力から仕事を受けて、ビルトアップに仕事を発注した「東京エネシス」は2012.7.23、9人中少なくとも5人が鉛カバーを使用したことを明らかにした。使用は12月1日の一度だけと発表した。(2012.7.23日経新聞夕刊記事から)。

続報2
 ビルトアップの役員S氏(54歳)は、記者会見して、「昨年11月29日に原発敷地内に廃棄したあった鉛の板を見つけ、30日にほかの作業員らとカバーに加工。夜に宿舎で「高いエリアの作業をすると、(限度までの)線量はすぐなくなってしまう」などと説明して作業時の装着を求めた。拒否した人は業務からはずし12月1日の作業で(鉛カバーを)使った。」(2012.7.23日経新聞夕刊記事から)。(編注*)

(編注*) 21日には指示したことも装着したことも否定していた。



[編注,コメント]

 東京電力福島第一原発事故の収束作業を請け負った建設会社「ビルドアップ」(福島県郡山市)が、被ばく放射線量計(APD)を鉛板で覆うよう作業員に指示した問題。

 なぜ?背景は? ということが頭をかすめた。
 そうするうちに、この事件の動機というか、顛末が明らかになった。

 12月1日、(ビルトアップの)役員は、作業チーム約10人に対し、胸ポケットに入るほどの大きさの線量計「APD」を鉛カバーで覆うよう指示した。だが3人が拒んだため、2日夜に会社側3人と作業員の宿舎だった福島県いわき市の旅館で、話し合いがもたれた。このときのやりとりを作業員が携帯電話で録音していた。
 
 この録音記録を朝日新聞が入手したという。
 この種の違反事件で、背景事情が明らかになる意義は大きい。
 

朝日新聞による事件の背景(要約)は、以下のとおり。「録音記録の紹介を含む記事」

 役員が口火を切った。

 「年間50ミリシーベルトまでいいというのは、原発(で仕事を)やっている人はみんな知っている。いっぱい線量浴びちゃうと、年間なんてもたない。3カ月、4カ月でなくなる。自分で自分の線量守んないと1年間原発で生活していけない。原発の仕事ができなかったらどっかで働くというわけにはいかねえ」

 作業員の被曝限度は「年間50ミリシーベルト」などと法令で定められている。被曝限度を超えれば、原発では当面働けない。

 役員は続けた。

 「線量がなくなったら生活していけねえんだ。わかる? 50ミリがどんどん目減りしていくわけだから」

 今回の工事は、東電がグループ会社「東京エネシス」に発注し、ビルド社が一部を下請けした。ビルド社員や、業者の紹介で各地から集まった人ら約10人の混成チームで、汚染水処理システムのホースを保温材で巻く。現場は、福島第一原発1~4号機の間近だ。

 鉛カバーで記録上の線量が下がることは、放射線にかかわる人には常識だ。作業員の一人が「俺はやってはいけないことを……」と言うと、役員は遮った。

 「やってはいけないってのは百も承知。やりたくない人は無理にやらなくたっていいんだよ」

 別の作業員が「これって犯罪に近いと思う」と言うと、役員はこう反論した。

 「私、無理押しした? 自分のために納得してやってもらえるんだったらやってください、ということなの。俺は自分の線量を守りたいからやるよ」

 この役員は、実質的な現場責任者も兼ねていた。各地の原発で工事を仕切るため、「あそこ(福島第一)で全部(線量を)使い果たすわけにはいかねえ」とも語った。

 同じ現場で鉛カバーを着ける人と着けない人がいたら、線量の記録がばらついて不正が見つかる。役員は自分の線量を少なく見せるため、全員に鉛カバーの装着を求めているのだろう――。作業員たちは納得できず、「なぜ鉛で隠すのか」と重ねて反論した。

 役員は語気を強めた。

 「鉛で隠さないと、線量なくなったら仕事にならないんだ」(2012年7月21日朝日新聞記事から)。

    ◇


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